君が主で執事が俺でが不完全なのは大宮Pのせい

 いわゆる「原作レイプ」をされて、タカヒロ&白猫参謀両氏のきゃんでぃそふと離脱の主因となったつよきす、離脱した氏らが創立した新ブランドみなとそふと満を持して送り出した期待作「君が主で執事が俺で」は、シナリオ・グラフィック・音楽ともに水準以上の出来で、第一線で活躍されている声優たちがヒロインそして脇役らを熱演して期待を裏切らない良作として仕上がっている。しかしながらプレイしていくとどうもオープニングに比べて本編がひどく淡白で、シナリオが飛び飛びで歯欠けなイメージを感じてしまう。
 最初はそれが何故なのか分からなかったが、ヒロインを一人また一人クリアしていくのとともにおぼろげながら理解してきた。これは、アニメ化のためである、と。
 この作品のアニメ化といえば、発売前から「製作陣にゲーム本編をプレイして頂いて十分把握してからのスタート」とした上でのアニメ化の発表をしたり、ゲーム本編でもヒロインの一人である夢に「なんのためにその素材を選んだのやら」と発言させたりと、つよきすアニメの件を引きずっているのがわかる。ご本人たちはどの程度意識していたのかは神ならぬ部外者には知るべくもない、がそれは決して小さいものではないだろう。
 きみあるのこの不完全な感じは、アニメ化を前提にしてシナリオを構成したと思えばすべてに納得がいく。
 たとえば、森羅と夢の和解エピソードだが、これは森羅ルートでのみ深く掘り下げていって、他のヒロインの時では話は一切こじれず、三姉妹が部屋に篭もり未由が調停してあっさりと終わらせている。また未由の心の病気も彼女のルートでは散々と引っ張り、主人公である錬があれこれ奔走しているのに対し、他のルートでは美鳩にあっさりと心を開き、その後未由は美鳩がいないと困るようになったことから解決したように思える。森羅が買っている土地も朱子シナリオでなければとそのことが分からないようになっている。
 このように、そのヒロインのルートでは重要な話でも、他ルートでは少し匂わせるだけであまり語られない。また重要だと思われる話でも錬とヒロインの恋愛に関係が無ければ語られないことが多い。
 それらを時系列で表すのならば
森 ■ ■ ■ ■ ■ ↓
■ ■ 未 ■ ■ ■ ↓
■ 朱 ■ ■ ■ ■ ↓
■ ■ ■ ■ ■ 南 ↓
■ ■ ■ 鳩 ■ ■ ↓
■ ■ ■ ■ 夢 ■ ↓
 かなり適当だけどこんな感じになるだろう。これを今主流の全ヒロインを満遍なくフォローしていく(するだけの)アニメ化ならば。
森 ↓
未 ↓
朱 ↓
南 ↓
鳩 ↓
夢 ↓
 という感じになる。これなら何度もプレイしなければ全貌が見えてこないゲームとは違って、アニメは一度見ただけですべてが分かるように出来る。
 原作通りに作って原作以上に分かりやすいアニメになるのだ。
 声優陣も、前回の総入れ替えに対して、代えようの無いように師匠やら勇者王やらひろしやらジャイアンやら起用した、ここら辺はおそらくかなり無理したのだと思う。まあ、「こちら側の提示した製作に関する条件の数々も快く了承」ということなのでよほどのことが無い限りは変更など無いと思う。
 そんなわけで、ある意味では子供のような意趣返しが目立つきみあるだが、その分アニメは期待出来るのでは?とおもう。