林檎のミツ

 とらのあなに委託した時は何もかも初めてだったんで向こうにお任せだったんですが、今にして思えばサンプルページくらいこっちで指定するべきだったんかなとか思う。
 お任せにしたら10Pと122Pになったけど、個人的には文芸部の誰かが「怖くなった」といってくれた101Pあたりが力はいってました。

「でもさ、セックスはともかくこうやって裸で抱き合ってるのって、なんだかすっごく懐かしい感じがしない?」
「うん、それは僕もずっと思ってた。……なんでだ?」
 同意を示しながら、彼は恵が意味ありげに口の端を上げているのが見えたので、直接に彼女に尋ねてみた。
「だって、ねえ。あたしたちずっと前にもこうしてたじゃん?」
「ずっとまえ?」
「あたしも覚えてるわけじゃないけど……」
 恵は『覚えてないのかよ!』という敬の突っ込みを無視しながら話を進めた。
「……お母さんのおなかの中にいたころからさ、あたしたちはこうやって裸で抱き合っていたんだよ? 生まれる前から、二人でこうやってさ。この世界を知る前にあたしたちはお互いのぬくもりを知ったはずなんだ、だから懐かしいって思うのは当然じゃん?」
「あ、そっか」
 敬は納得した。
 記憶に残っているはずもないが、双子である彼らは確かに母の腹の中にいたころは裸で触れ合っていたはずである。
 当然あった過去、今まで気にしなかった事実。二人の関係の変化によってそれは新たな意味を持ち始めた。

 こんなん。双子の兄妹だからね二人は。
 だから今にして思えばちょっとミスったかなって思う、だって10Pと122Pじゃあまりインパクトないですし^^;
 まあ今回は何もかも初めてなのだからしょうがないっか。
 
 ちなみに締めのところで、

 この世界はそんなにやさしくない。
 きっと二人のことに理解を示し、味方でい続けてくれる人間など十指にも満たないだろう。
 それでも彼らは、歩いていける。
 諦観ではなく、自暴自棄でもなく。
 ただ世界よりも、大事なものを確かに感じていたから。
 だから彼らは、どこまでも、いつまでも歩いていける。

 こんなん書いてたの自分でも忘れてた。実はこれを書いてる間二人に入れ込みすぎて、「こいつらならもっとハッピーエンドな未来もあったはずなのになんで俺はこんなせつねえトゥルーエンド書いてんだよ」と二日間一文字も打てなかった事態に陥ってました、マヂです。
 その影響もあってか、最後の修羅場のトタバタもあってか、締めはこんな二人に対する祈りのような言葉になっちゃってました。いや自分でもびっくりです@◇@
 指摘されたように「前後」の話は確かにあります、でも「後」の話はどうしても更にシリアスになっていくのです。二人の未来を思って不妊手術をした恵が、しかしやはり子供を産みたい。でも血のつながった敬との子供を産むわけには行かない、でも産みたい、ではどうすればいいのか。そうだ代理母だ!そうすれば敬の子供産めるし、生まれてきた子供も別に両親が兄妹じゃないから万々歳……って風に恵がまた暴走します。そうなればまた私の目に汗が止まらなくなってしまいます……。
 どこで何をどう間違えたのかな……敬と恵、そして私……○| ̄|_